前文ないです。
よろしくお願いします。

「夫の浮気に制裁を。」

僕は真紀さんに電話をした。

「もしもし・・・」

真紀さんは泣いているような声で電話に出た。

「ご主人の返信内容が酷いので、辛いとは思いますがここが頑張り時です。」
「ご主人は自ら自分で自分の首を絞めています。」
「言える時期になったら、100倍にして言い返しましょう。」
「それまで頑張りましょう。」

「はい・・・。」
「1年前まではすごく仲が良く、周りからも理想の家族と言われた事もあったのに・・・」
「トランさん。主人はなぜあそこまで変わってしまったのでしょうか?」
「酷すぎます。シラを切るのは想像していましたが、私を嘘つきにして悪者にするなんて、さすがにそこまではしないと思っていました。」
「少しは罪悪感があると思っていました。」
「心のどこかで、ごめん。って言ってくれると思っていました。」
「でも、あそこまで酷いとは思っていませんでした。」
「トランさん。主人は私の事をどう思っているのでしょうか?」
「もう、私や翔太の事なんてどうでもいいのでしょうか?」

「・・・・・・・・。」
「ご主人がどう思っているか、僕が感じた事を素直に伝えても大丈夫ですか?」
「もっと辛くなるかもしれませんよ。」

「え??・・・だ、大丈夫です。」
「覚悟は出来ています。」

「分かりました・・・。」
「ご主人は・・・貴女が邪魔なんです。」
「貴女さえ、さっさと離婚に同意すれば、女と幸せな世界が待っているのに、下の身分のくせに俺に反抗しやがってと思っているはずです。」
「貴女に対して愛情どころか、情すらも無くなっています。」
「それどころか、憎しみさえあると思います。」
「ご主人は、完全に敵になっています。」
「どれだけ嘘をついてでも、貴女を陥れたいと考えているはずです。」
「本当は暴力をしているのに、第三者に対して暴力なんてしていないと嘘を言う人はいますが、普通は本人を前にしたら、言葉に詰まる人が多いです。」
「それは、少しは罪悪感があったり、自分のした事に対してばつが悪いと感じるからです。」
「まだ、人の心があるからです。」
「でもご主人は、貴女本人に対して、暴力をしたのに、暴力はしていないと躊躇なく言い切ったのは、貴女の事なんかどうでもいいと考えているから言える発言です。」
「罪悪感もなく、貴女本人に平然と嘘を言えるのは、人としてさえ見ていないからです。」
「貴女の怪我を見ても何も感じないのは、虫を殺しても何も感じないのと同じ感覚だと思います。」
「虫が死んでもご主人は何も感じないですが、貴女が死んだらご主人は喜ぶという違いはありますが。」

「トランさん・・・酷い・・・」
「酷すぎます。」

ここまで、僕が酷く言うのは真紀さんに覚悟を感じてほしいからだ。
ご主人の情と、真紀さんの情の差を自覚してほしいからだ。
僕自身も離婚バトルの時、元嫁に情を捨てきれず、情を出してしまい、有効なカードをいくつも持っていたが、何度も追い詰められてしまった苦い経験がある。

離婚バトルには情がどうしても邪魔だ。
情がある方が負けてしまう傾向がある。

相手が追い詰められ、負けると気づいた時、依頼者の情を利用する場合が多い。

自分はこれだけ可哀想だ。
自分はこれだけ辛いんだ。

一度は愛した俺を、ここまで辛い目に合わせたくないだろ?
ここまで酷い目に合わせたくないだろ?

俺が悪かった。
俺が間違っていた。
俺がバカだった。

だから許してくれるだろ?
俺にまだ情があるだろう?
俺が可哀想だろう?
おまえは優しいだろ?

と、相手の作戦が尽きた時、嘘がバレた時、自分の立場が悪くなった時、それでも何とかしたいと考えるなら、情を利用するのは有効な作戦だ。

負けを確信してから、挽回出来る方法は二つしかない。

一つは、依頼者も本当は浮気をしていると賭けて探偵を雇い、イーブンに持ち込むか。

もう一つは情で訴えるかだ。

しかし、情にほだされてはいけない。

今までの酷い仕打ちを思い出してほしい。

情にほだされて、相手の要求を呑んでしまっても、相手は感謝なんかしない。

心の中で舌を出し、バカな奴だとほくそ笑むだけだ。

ちょっと謝ったら、すぐに許してくれたバカな女だと、武勇伝のように人に話すかもしれない。

浮気相手と、バカにしながら笑っているかもしれない。

また、途中で許してしまったら、どちらが有責だったのか結論は出ずに終わってしまう。

俺は一切悪くない。
あの女が浮気をしたからだ。料理も作らなかった、家事も何もしなかった。だから離婚したんだと周りに風潮するかもしれない。

どうしても情があるのなら、徹底的に戦い相手の有責を明確にし勝利してから情けをかければいい。

例えば、有責の明確な判決が出て、慰謝料も200万と判決で決定した後で、完全に勝ってから慰謝料はいらないと言えば、相手に少しでも心があれば感謝するかもしれない。

中途半端な時期で、相手に情を与えても感謝なんて得られない。

バカな奴だと思られるだけだ。

相手に反省させたいなら、中途半端に許すのではなく、勝ってから情を与えればいい。

上から目線で情けをかけてやればいい。

そうでなければ、逆にバカにされ、離婚理由をこちらが悪かったと風潮するだけだ。

一度の情にほだされて、相手の言う事を聞いてしまった為に苦しい戦いになってしまう事もある。

「貴女にはまだご主人に対して情があると思います。」
「でも、ご主人は貴女に情はありません。」
「ご主人がどれだけ非道かは、メールのやり取りでご理解できたと思います。」
「ご主人は、今まで貴女と暮らしていたご主人ではありません。」
「残念ですが、変わってしまったのです。」
「敵になってしまったのです。」
「ご主人に期待をしてはいけません。」
「期待をすればするほど、貴女は辛くなってしまいます。」
「ご主人がした暴力を、自作自演で貴女がしたと言い切ったのは酷いと思います。」
「でもそれは、まだ序の口です。」
「ご主人は、これからもっと酷い扱いをしてきます。」
「貴女を陥れてでも、自分と女は助かろうとしてきます。」
「貴女を悪者にしてでも、自分たちは有利になろうとしてきます。」
「今は非情になって、ご主人と戦いましょう。」
「僕も一緒に戦います。」
「頑張りましょう。」

「トランさん・・・ありがとうございます。」
「でも、まだ割り切れない自分がいます。」
「でも、トランさんの言う事が正しいのでしょうね。」
「割り切れないですが、主人には情がないと思うようにします。」
「主人に期待しないようにします。」

・・・期待どころか、真紀さんを嵌めようとしているんだけどな。

「今日の段階では、まだご主人は通帳の確認はしていないようですが、今度の休みまでには通帳の確認をして、残高が無い事を知り、引き下ろした事を責めてくるはずです。」
「かなり酷い罵声を浴びせてくると思います。」
「こちらは、時期をみて生活費の請求をしますが、当然、金を盗んだと責め支払いは無いでしょう。」
「その発言が来たら、婚姻費用分担の調停を裁判所に申し込みます。」
「ご主人が生活費を支払わない時期が何カ月もあり、それから婚姻費用の調停を申し込んでも、その何カ月分は貰えません。」
「婚姻費用は、調停に申し込んだ月からしか貰えません。」
「裁判所は、申し込みをしなかった時期は関係ない、知らないとの判断になります。」
「生活費が欲しかったら、申し込みをすればいいのに、しなかった人が悪いとの判断になります。」
「なので、確実に生活費を貰う為には、相手に生活費の請求をして振り込まれなかった、または払わないと発言した月には申し込みをします。
「ご主人から取れる金は、1円でも搾り取りましょう。」

「わ、分かりました。」
「調停は、私一人でするのですか?」
「それとも、弁護士を雇うのですか?」

「婚姻費用分担の調停は、双方の収入から算定表に基づき決定するだけなので、弁護士を雇っても、貴女一人で調停をしても、金額に変動がある事は稀です。」
「調停委員に多少舐められますが、貴女だけでも婚費の調停は出来ます。」
「しかし問題なのは、貴女が婚費の調停をするとご主人に通知が届けば、ご主人は同時期に離婚調停の申し込みをすると思います。」
「婚費の調停は金額を決めるだけの調停なので、離婚とか浮気とかそういった話は一切関係ないです。」
「婚費のみの調停で、他の話はしないので、ご主人は対抗策として、その調停日に離婚調停をかぶせてくるはずです。」
「なので、実際は、婚費と離婚の調停になりますので、そうなったら貴女一人では厳しいので、弁護士を雇った方がいいですね。」

「トランさん・・・そこまで先が読めるのですか?」
「すごいです!!」

「・・・これぐらいは普通ですよ。」
「弁護士を雇えば、弁護士も同じことを言うはずです。」
「長年裁判に関わっていると、ご主人の性格を考えれば、どのパターンかは分かります。」
「それと、ご主人は、次の休みまでには、家から荷物をある程度持ち去ると思います。」
「貴女も家を離れ、実家で暮らすようになりますので、お互いに家を出ている状況ですが、家の権利はご主人だけですので、ご主人は嫌がらせで家の鍵を変えるかもしれません。」
「また、貴女と翔太君が実家で暮らしている事が分かったら、家の権利のあるご主人が家に入るなと言うかもしれません。」
「少しの間は、無視をして家に入っても問題ないですが、鍵を変えられていたら、鍵を壊してまで入るのは後々問題になりますし、日にちが立つと勝手に入るのも、夫婦といえども別居しているので問題になってしまいます。」
「なので、家に残している私物などがあれば、今のうちにすべて持ち去ってほしいです。」

「結婚する時に買った婚礼家具とかも、持って行ってもいいのですか?」

「問題ないです。何ならテレビや冷蔵庫、洗濯機なども持って行っていいですよ。」
「どうせ、ご主人は女と住みますし、夫婦の家財を女と住む新居に持ち込む事はしないはずです。」
「結婚してから購入したものなら、夫婦の共有財産なので、どちらが管理しても問題ないです。」
「もしご主人が、共有財産だから半分返せとごねるのならば、決着した時に返さないといけないですが、現金で返せば問題ないですよ。」

「え?現金ですか?家電だけでも何十万もするから、どうしましょう・・・。」

「あ、言葉が足りなかったです。」
「全て、中古の金額での計算になります。」
「中古で売ったら、いくらになるかの価値での計算です。」
「それに家電は5年以内なら、買い取ってもらえるかもしれませんが、5年以上なら買取はして貰えないので、価値は0円が普通です。」
「新しい家電でも、リサイクルに売ると、ビックリするぐらい買取は安いので、いらないものまで持っていく必要はないですが、使うものなら持って行っても、買取価格の半分返せばそれで済むので、返すにしても数万円ぐらいで収まると思いますよ。」
「それに、持っていかなかった家にある家財も共有財産ですので、ご主人が請求するなら、こちらも置いていった家財の半金を請求する事が出来るので、実際はそういった細かい金はお互いに請求しないで終わる事が多いです。」
「それよりも、車を貴女の実家に持ち出したので、それを取られないように気を付けてほしいです。」
「あの車は、良い値段で売れそうなので。」
「半金返せと言われれば、車が欲しいなら現金で返さないといけないですが、その頃には、ご主人の浮気と暴力が大問題になっているので、慰謝料や共有財産、隠し財産などと絡めて対応すればいいです。」

「わ、分かりました。」
「まだまだ、しないといけない事が沢山ありそうですね。」

「まだ始まったばかりです。」
「一つ一つ、クリアしていきましょう。」

「では、後出し出来るように、ご主人をもう少し追い詰めていきましょう。」

「後出し・・・ですか?」

「はい。ご主人は貴女と翔太君にした暴力を完全否定しました。」
「なら、貴女はもう一度認めてほしいと伝えて下さい。」
「ご主人はそれでも否定するのですが、正直に話してほしいと言った貴女に対して、さらに虚偽の発言をした事で有責を高めるだけでなく、後日あの時に正直に話をしていたら、謝罪をしていれば、ここまで大ごとにならなかったのにと後悔させる為の発言を貰いましょう。」
「そして貴女は、時期が来てご主人が懇願してきた時に、あの時に謝罪をしていれば私も許していたんだと言えるように、ご主人が謝罪をしなかったから、ここまで大ごとになったんだと分からせる為にも、これから要所、要所で後出しが出来るポイントを作っていきます。」

「すみません。あまりよく分からないのですが・・・」

「とりあえずやってみましょう。」

「分かりました・・・。」

「長文になりますが、文面をメールで送りますね。」
「電話を切りますが、メールを確認したら連絡下さい。」

「はい。お願いします。」

僕はメールで、雄太に送る文面を考え、真紀さんに送った。

「私と翔太に暴力をした本人なのに、殴っていないって、殴った相手によく言えますよね。貴方は私だけでなく、翔太まで殴ったのですよ。なぜ殴った私ににそんな嘘を言えるのですか?翔太にも悪いと思わないのですか?翔太がどれだけ辛い思いをしているのか分からないのですか?私は全治2週間で、翔太は全治3日です。私を殴り、自分の子供を殴った罪悪感は無いのですか?信じられません。私と翔太に暴力を振るった事を正直に認めて謝罪をして下さい。今正直に謝罪をするのなら大ごとにしません。話合いだけで終わらせてもいいです。でも貴方が殴った事なのに、私の自作自演だと言うならば本当に大ごとにしますし、話合いだけで終わらないですよ。翔太は殴られているし見ているんですよ。翔太が証言したり、大ごとになれば貴方の嘘はバレます。どれだけ貴方が嘘を言っても無駄です。謝罪をして下さい。今なら大ごとにしません。貴方が心から謝罪をするのなら、二度と暴力を振るわないと約束出来るなら、まだ家族としてやり直しが出来ると思います。」

暫くすると真紀さんから電話が来た。

「ここまで強気の内容を伝えても大丈夫ですか?」
「逆ギレしそうで怖いです。」
「それに私は離婚の方向で考えているのですが・・・」

「これは例文みたいなものですので、参考にして頂いてご自分の言葉で書いてもいいですが、あえて高圧的に長文で大ごととの単語を多く入れて書きました。」
「ご主人からしたら、脅しだと思うでしょね。」
「長文で上から目線で反論を書く事で、格下の貴女が上から目線で反抗していると思わせるのが狙いです。」
「格下の貴女にここまで言われたら、逆上してさらに嘘に嘘を重ねた反論をするでしょう。」
「また翔太君の暴力の事も書いたので、翔太君にも暴力をしていないとの嘘の発言を上塗りするでしょう。」
「翔太君も暴力をされ、まじかで貴女が殴られているのを見ているのに、翔太君の証言が今後出るのに、それでも暴力をしていないと発言しているご主人ですが、それをどう切り返すつもりなのかも興味があります。」
「翔太君に関しては、ご主人は作戦として今後、ここまでの仕打ちをしても、親権を求めてくるかもしれないですが、暴力を振るった事でアウトにするだけでなく、貴女は謝罪を求めたのに、ご主人はさらに嘘を重ねたとの証拠が出来るので、さらなる証拠の積み重ねが出来ます。」
「通常でも父親が親権を取るのはほぼ不可能ですが、狙いは面会さえも拒否出来るようにダメ出しの証拠を作ります。」
「家族としてのやり直しに関しては、貴女はこの時期まではまだ離婚ではなく、再構築を考えていたとの証拠を残し、浮気も知っていたけどそれも我慢し、暴力も謝罪があれば許し、辛い立場の貴女だけどギリギリまで家族でいられる方向で考えていたと主張出来るようにします。」
「これが、後出しです。」
「後出しは、これからも作っていきますが、ご主人に浮気され、暴力を振るわれ、責められ、冤罪で訴えるとまで言われた可哀想な貴女ですが、それでも家族の事を考え、離婚に躊躇していた、けなげな私を主張出来るようにします。」
「しかし、そんなけなげな貴女ですが、ご主人の酷い扱い、嘘、反論を何度もされ、精神的に追い詰められ、ようやくご主人の酷さに気づき、目が覚め、翔太君の為にも、自分の為にもご主人とは別れたほうがいいと気づき、やっと有責のご主人と戦う貴女になったという設定です。」
「これは、この後のご主人のメール内容が酷いはずですので、それを見てからそういう判断になった事にします。」
「どちらにしても、ご主人は謝罪は絶対にしないでしょう。」
「反論してくるはずです。」
「そうなれば、こちらは弁護士を雇い、調停、裁判までして容赦なくご主人を責め断罪していきます。」
「そうなれば、ご主人は負けると判断するでしょう。」
「それでも何とかしたいご主人は、格下の貴女さえ丸め込めば納まると思い、貴女に情で責めて来るかもしれません。」
「その時に、この時のやり取りを引き合いに出し、暴力を認めて謝罪をしてほしいとメールをした時に、正直に謝罪をしていたら許していたけど、それでも嘘を言って私を悪者にしたから、いまさら遅い。どちらが悪いか事実を明確にし、貴方も女も徹底的に反省して貰うとの言い方が出来ます。」
「浮気と暴力は当然悪いが、私はそれでも許そうとした、でもこちらの思いを無視するどころか、さらに嘘を付き私を悪者にしたので、やりたくなかったが、仕方なく主人と女を徹底的に責めているんだとの、大義名分が言えます。」
「また、この事を言えれば、ご主人は自分の作戦ミスでこうなったと自覚し、貴女を侮っていたと、少しは後悔するでしょう。」
「この文面は、この先のあらゆる方面に対応する事が出来る文面になります。」

「すみません・・・トランさん・・・」
「あの・・・えっと・・・」
「ちょっと・・・ついていけないのですが・・・」

「そうですね・・・」
「簡単に言うと、ご主人と戦う事の大義名分、翔太君の親権は勿論、面会すら拒否する権利、ご主人が謝罪せずに嘘を言い続け、貴女を悪者にしようとしたさらなる証拠確保、ご主人に酷い事をされたが、それでも最後の最後までご主人を許そうとし、家族、家庭を守ろうとした、けなげで可哀想な妻だという人物像の確定を、このメールを投下すれば実現するという事です。」
「ついでに、ご主人がミスをしたと後悔させる、ターニングポイントの一つにします。」
「また、浮気の件を問い詰めない事で、まだ証拠は何も掴まれていないと安心させる狙いもあります。」

「そ、そんな事が出来るのですか?」

「絶対とは言いません。」
「ご主人の返信内容次第です。」
「一回のメールですべて、思い通りになるかどうかはやってみないと分かりません。」
「僕の読み違いもあるかもしれません。」
「しかし、このメールをご主人に送ってもデメリットはないです。」
「どうせ、全面対決するので逆ギレされても怖くないですし。」
「逆ギレすればするほど、こちらは有利になりますし。」
「デメリットが無ければ、する価値はあると思いますよ。」

「わ、分かりました。」
「怖いですが、送ってみます。」

「怖い返答が来れば来るほど、貴女は有利になりますので気にしないで下さい。」

「はい・・・気にしてしまうと思いますが・・・」
「主人から返信が来たら、転送します。」

「お願いします。」

雄太が、裏を考えれるタイプなら、言葉を選んだ返信になるか無視をするのだが・・・
この段階で真紀さんに助言者が付いているなんて想像すらしていないだろう。
格下の真紀さんの高圧的なメールに、雄太は感情的になり逆上するはずだ。

返信の内容次第で、今後の方針を決めるか・・・

20分後・・・

真紀さんからメールが来た。

「来ました!すごく酷いメールが来ました!」

すぐに雄太のメールを確認する。

「いいかげんにしろ。俺は何もしていない。おまえのでっち上げだ。翔太にまで暴力を振るったのか。どれだけ酷い奴だ。翔太はおまえにべったりだから、おまえが嘘を言えと言えば翔太は俺がやったと言うに決まっているだろ。だがな子供の証言は認められないんだぞ。嘘の発言を強要させるのが虐待なんだ。俺が殴ったと翔太が言うのであれば、徹底的に争ってやる。大ごとにする?出来るものならやってみろ。証拠なんて何一つないだろ。なにが謝罪だ。冤罪で本当に訴えるぞ。何がやり直しだ。おまえが離婚すると言ったんだろ。今週中に離婚に同意しないと訴えるからな。今ならある程度の金を渡してやる。すぐに離婚しないと生活が出来なくなるぞ。おまえに何が出来る。よく考えてから発言しろ。」

「・・・・・・・。」
「ハハ・・・」
「ハハハハハハハ。」

雄太のメールを読んで、思わず声を出して笑ってしまった。

期待以上の満点回答だ。

こいつ・・・
想像以上の、自己中で自信家で負けず嫌いの大ぼら吹き野郎だ。
恫喝すれば、真紀さんは今までのように従うとでも思っているのだろう。

こちらの挑発に簡単に乗りやがった。
完全反論しやがった。

全てが作戦だったと分かった時の雄太の顔が目に浮かぶな。

「こういう奴をいたぶり、完全敗北に追い込むのが俺は好きなんだ。」

思わずポツリと呟いてしまった。

「・・・・・・・・。」
「ダメだ。今の発言はダメだ。」

その言い方はまるで橋田じゃないか。

橋田と行動を共にしていた時期が長かった為か・・・

橋田に感化されている自分を・・・

感じてしまった。


(一気に長文書くのはさすがに疲れた・・・)

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