実際に日本全国で調査をしていますが、この間の調査は、事務所から500キロ以上離れた場所での調査でしたが、なんと、数年前に調査した元依頼者さんの、自宅の斜め前が今調査している浮気相手の自宅でした。

さすがにびっくりです。

そして、さらにびっくりしたのは、元依頼者さんは離婚が成立し、その自宅から50キロほど離れた所に引っ越しをして住んでいたのですが、なんとコンビニでばったり会ってしまいました。

これも神様の巡り合わせだろうなと思い、何も聞かずに以前住んでいた自宅の、斜め前の住人の事を教えてほしいとお願いした所、快く教えて下さり一気に情報を入手する事が出来ました。

今までも同じ会社勤務だったり、数百メートルぐらい離れた場所の事はありましたが、ここまで近くなのは初めてです。

それでは。

「夫の浮気に制裁を」

よろしくお願いします。


僕は真紀さんと翔太を車に乗せ夜間診療に向かった。

病院に着き、真紀さんと翔太の診療をしてもらう。

探偵の立場の僕が立ち会った方がいいか悩んだが、翔太が殴られているので、母親の真紀さんが同席しているとしても、医者は児童相談所に通告する義務があるので立ち会う事にした。

医者は、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した場合は、速やかに児童相談所や、福祉事務所などに通告する義務がある。

配偶者のDVの場合は医者は努力義務で、真紀さんの意思次第で警察に通報となる。

真紀さんや翔太が、雄太に暴力を振るわれた事実は、今後有利になる為、正直に伝えないといけない。

児童相談所に通告されても、真紀さんが不利になる事はないので別にいいが、ただ児童相談所の職員は、警察官よりも当たり外れが大きい印象が強い。

翔太の年齢から無いとは思うが、児童相談所が真紀さんの意志を無視して、「一時保護」の特権を使われると後々めんどくさい事になる。

真紀さんは、まだ混乱をしているので僕が医者に身分を打ち明けて話をし、最初は胡散臭い様子で聞いていたが、耳かけタイプのカメラの映像を見せて納得させた。

それに、翔太が必死で状況を説明した事でも医者は納得したようだ。

真紀さんは、全治2週間との診断。
翔太は、全治3日と診断された。

誤解を恐れずに探偵の立場で言えば、かなり雄太を追い詰めれるカードが手に入った。

医者は最初関わるのが嫌だったのか撮影を拒んだが、説得して怪我の撮影もした。
真紀さんは、額や腕だけでなく、背中や胸当たりも怪我をしていたようで、看護師に撮影をしてもらった。

児童相談所の通告も、後日児童相談所職員が訪問する事で落ち着いた。
DVの通報に対しては、一切説明は無かった。
医者は胡散臭い僕と、関わりたいとは思わなかったのかもしれない。

真紀さんと翔太を車に乗せ、自宅に向かう。

翔太は気を貼って疲れたのだろう・・・
車に乗るとすぐに眠ってしまった。
無理もない。
時計を見ると、深夜2時半をすぎていた。

真紀さんは、落ち着きを取り戻していた。

「トランさん、すみません。こんな事まで付き合わせてしまって・・・」

僕は普段の真紀さんの話し方を聞いて、少しホッとする。

「そんな事は大丈夫です。」
「ただ・・・いろいろと急いで決断しないといけなくなりました。」
「それと、大変ですが、今日は、貴女と翔太君は、自宅ではなく別の所に泊まってほしいです。」
「実家が無理なら、深夜でも宿泊出来るホテルを探しますが、どうしますか?」

驚いたように真紀さんが言う。

「え??主人は家を出ていったんですよ?」
「家で寝るのはダメなんですか?」

僕は真紀さんに説明をした。

「多分、ご主人は今日は帰ってこないので大丈夫だと思います。」
「ただ、多分とか、思います。とかしか言えない状況です。」
「絶対に帰ってこないとは言えないので、家で寝るのはやめてほしいです。」
「また、探偵の立場で言えば、暴力を振るわれた母子が、ご主人が帰ってくるかもとの恐怖で、家で寝るのも怖く、別のところに避難したという実績を作りたいのもあります。」
「それに、もしご主人が帰ってきても、今の真紀さんは対応出来ないです。」
「強制的に離婚届を書かされて、明日提出されてもいいなら家で寝てもいいですし、貴女や翔太がまた殴られてもいいなら家にいてもいいとは思いますが。」

真紀さんは暫く考えていた。

「・・・・分かりました。主人は今日は冷静になれないと思います。」
「ボイスレコーダーで録音していた事をすごく怒っていたので。」
「実家に泊まるので、実家に連絡します。」
「あ、携帯は壊れてしまったので、家の電話から連絡します。」

「・・・・・・・・・。」

あまいな・・・
今日は冷静になれない。ではなく、今日から戦いが始まってしまったのに・・・
ボイスレコーダーを準備していた事で、真紀さんが動いている事はバレてしまったんだ。

雄太は、ボイスレコーダーで録音していた事だけで怒ったんじゃない。
軽く騙せると自信があったのに、自分有利で離婚出来ると確信があったのに、自分よりも下だと思ってバカにしていた真紀さんだったのに、その真紀さんが、ボイスレコーダーを使用していたんだ。
雄太にしてみれば、格下の真紀さんにしてやられた状況だろう。

雄太は頭が回る方だ。
真紀さんの性格から、真紀さんが自分で考え、自分の意思でボイスレコーダーを仕込んだとは考えないだろう。
だれかに相談していたと考えるはずだ。
相談内容は浮気の事かもと、雄太は考えるだろう。
間違いなく、雄太には警戒心を与えてしまった。
ボイスレコーダーが見つかったのは、結構致命的なんだ。

僕は真紀さんに、これからの現実を理解して貰う為にあえて言う。

「それがいいと思います。後、言葉に気を付けてください。」

「え??何をですか?」

「携帯が壊れたではなく、主人に壊されたです。」
「今後、第三者に説明をしないといけない状況が来ます。」
「その時、第三者に主人に壊されたと言うのではなく、壊れたと言ってしまうと、たいした事はないとの印象になってしまいます。」
「嘘は付かなくていいですが、ご主人にされた事は、ご主人にされたと分かるような話し方をする癖をつけてください。」
「なかなか出来ないと思いますが、僕を練習台に使って、その癖をつけていきましょう。」

「わ、分かりました。」

「それと、明日話すつもりでいましたが・・・」
「今日の帰宅前のご主人の行動ですが、ご主人は女と一緒に住むマンションを契約しました。」
「女と住むマンションの場所、部屋番は確認できています。」

「え??」

「ご主人が離婚話を切り出したのは、女と住む為です。」
「ご主人は、貴女や翔太に暴力を振るってでも、何が何でも離婚をしようとしています。」
「ご主人は、貴女と翔太を捨てようとしています。」
「そんなご主人に対して、貴女は・・・どうしたいですか?」

「・・・・・・・・・・」

真紀さんは俯いたまま、無言だった。
僕は、今の状況で話すのは酷だと思ったが、頭が回る雄太は、自分を正当化する為に、暴力を無かった事にする為に、真紀さんを悪者にする為に、早急に真紀さんと接触し、丸め込もうと行動するかもしれない。

暴力を振るわれた女性は、その後優しくされる事によって、本当は優しい人なんだとの錯覚と、自分が怒らせたから悪かったとの反省をしてしまい、また機嫌を損ねると、暴力を振るわれるかもとの恐怖心などの心理が混同してしまい、負のスパイラルに陥ってしまう人がいる。

相手を怒らせないように、相手の意見に同意してしまう傾向がある。
人を洗脳し服従をさせるのには、飴と鞭を使うのが一番効果的だ。
DVを繰り返しされているのに、抜け出せないでいる人は一種の洗脳状態になっている。

雄太は、どちらかというと洗脳する側の性格だ。
そして、真紀さんの気の弱い性格は、洗脳されるタイプだ。

雄太と何度も接触してしまったら、自分の考えを持てなくなってしまうかもしれない。
雄太の意見を聞いてしまうかもしれない。

真紀さんは、再構築の願望を捨て、現実を理解し、雄太と戦うしか道はないと理解してほしい。

僕は真紀さんに言う。

「まだ、やり直せるかもしれないと考えているかもしれませんが、それは甘いです。」
「ご主人は、マンションまで契約をして、来月には女と住む事も約束しています。」
「ご主人も後戻りできない状況です。」
「きつい言い方ですが、貴女と浮気相手の女、どちらがご主人は大事なのでしょうか?」
「ご主人は、好きな女の為なら、貴女や翔太くんを平気で殴る事が出来る人間になってしまったのです。」
「もう、以前のご主人ではないです。」
「ご主人は、雄太は・・・貴女と翔太くんの敵です。」

真紀さんは僕の話を聞いて、呟いた。

「ひとみさんが・・・」
「・・・憎い。」

雄太ではなく・・・ひとみが憎いか・・・。
よほど、雄太が好きだったんだろうな。
家族を・・・守りたかったんだろうな・・・。

「・・・その、ひとみという女に制裁をする為にも、ご主人は敵と認識してほしいです。」
「もし、貴女がご主人とやり直したい、話し合いたいと思い接触してしまうと・・・」
「また、翔太くんが殴られますよ。」
「貴女を守ろうとして、返り討ちに会い、何度も、何度も殴られてしまいますよ。」

「・・・・・・・・・!!」

真紀さんは、寝ている翔太を見ると、顔を背け暫く声を押さえて泣き出した。
そして、独り言のように話し出した。

「私ね・・・」
「元に戻りたいなぁ〜って、何度も、何度も考えていたけど・・・」
「前みたいに、三人で笑い合いたいなぁ〜て、いつも考えていたけど・・・」
「主人が少しぐらい冷たくても、酷い事を言っても、家族でいられるなら、私は我慢出来ると思っていたけど・・・」
「それって・・・翔太が辛い思いをするんですね。」
「三人でいる方が、辛い思いをするんですね・・・」
「私がしっかりしないと・・・いけないんですね。」

「・・・・・・・・。」
「そうです。」
「ここでの決断次第で、今後の人生が変わります。」
「翔太くんの人生が変わります。」
「今まで通りに進むことは無理な状況です。」
「貴女は、何を、誰を守りたいですか?」

真紀さんは、僕の顔を見てはっきりと言った。

「私は、翔太を守りたいです。」

僕は、さらに真紀さんに話した。

「翔太くんを守るには、ご主人と戦わなくてはいけません。」
「ご主人と決別しないといけません。」
「そして、ご主人に勝たなくてはいけません。」
「ご主人に情があると、勝てるものも勝てなくなります。」
「貴女が望むなら・・・」
「僕は、ご主人をとことん追い詰めます。」
「ただ、後戻りは出来なくなります。」
「ご主人は、自分の立場と女を守る為に、貴女を敵と認識するでしょう。」
「貴女に、その覚悟はありますか?」
「ご主人に恨まれる覚悟はありますか?」

真紀さんは少しの間考えると、翔太の顔を見ながら言った。

「翔太を守る為なら・・・」
「私は・・・」
「何でもします!!」
「お願いします。トランさん。」
「翔太と私を・・・」
「助けて下さい!!」

「・・・分かりました。」
「なら・・・」
「徹底的に、ご主人を・・・」
「あの男を潰します。」
「後悔はしないで下さい。」
「いいですね。」

「はい!!」

真紀さんが返事をした時の、僕の顔が・・・
不気味に微笑んでいて、怖かったと
後日、真紀さんが言っていた。


(クリックしてほしいです。〕

人気ブログランキング

トラン探偵事務所ブログ