今日は、これから調査の準備をしないといけないので、すぐに本文入りますね。

それでは・・・

「夫の浮気に制裁を 16」

よろしくお願いします。


部屋の特定は出来た。

だが、これ以上ここにいても、証拠能力の低い粗い映像しか撮れない。
それに、住人に不審に思われたら、めんどくさい事になる。
この場所からは撤収だ。

僕は急いで、古びたマンションから離れた。

二人がマンションから出るのを撮影する為に、タクシーに戻ろうとすると・・・
タクシーの運転手が、マンションエントランスでウロウロしていた。

何やっているんだ。
あの運転手は・・・

タクシーの制服を着ているから、住人が見ても客待ちだと思って疑われないかもしれないけど・・・
私服なら、完全に怪しい人物じゃないか・・・

僕は、運転手に声をかける。

「運転手さん。何をしているんですか?」

すると、運転手は怒った口調で僕に話し始めた。

「お客さん!無賃乗車で逃げたと思ったじゃないですか!」
「エントランスを覗いても何処にもいないし・・・」
「新手の詐欺だと思いましたよ!」

・・・失敗した。
こういうタイプは、金を渡してから、タクシーから出るべきだった。

「声が大きいです。」
「それに無賃乗車でも、詐欺でもないです。」
「とにかく、タクシーに戻りましょう。」
「この場所は目立ちますし、もう少ししたら三人は戻ってくるので。」

それでも、ブツブツと文句を言う運転手をなだめながら、何とかタクシーに戻った。

「お客さん。こういうのは困りますから!」
「探すのも大変なんです!」

タクシーに乗車しても、運転手の文句は止まらない。

「・・・・・・・・・。」

調査に集中したいのに、めんどくさい・・・
僕は5千円を財布から出し、運転手に渡す。

「これは、約束の尾行するだけで5千円のお金です。」
「尾行して頂いたので、今お渡しします。」
「もう少ししたら、三人が不動産の車に乗って移動します。」
「その後を追って、最後まで尾行出来たら、約束のもう5千円もお渡しします。」

5千円を見せた瞬間・・・
運転手の顔が一気に変わった。

「そ、それはすみませんねぇ〜。」
「ありがとうございます。」

運転手は、すぐに5千円を受け取り、大事そうにポケットに押し込む。

「・・・・・・・。」

こういうタイプは扱いやすいが、知り合いにはなりたくない。

僕はリアガラスからカメラを構え、三人が出るのを待ち構えた。

少しすると・・・
三人が出て来た。

不動産の男が後部ドアを開け、雄太とひとみが乗車する。
相変わらず、腕を組みベタベタした印象だ。

不動産の男が運転席に乗り込み、車のライトが点灯した。

「運転手さん。お願いします。」

「任せといて下さい!」

運転手は、先ほどの不機嫌さが嘘のように、軽快に返事をする。

尾行開始だ。

暫く尾行をすると、運転手が話しかけた。

「お客さん。この道は不動産の店舗に戻る、裏道みたいですよ。」
「この道の方が、信号に捕まらないんです。」

「そうですか・・・」
「もし見失ったら、方角が不動産の方なら、そのまま不動産に向かって下さい。」
「不動産に到着したら、少し離れた所で停車して下さい。」

「分かりました!」

下見は1件のみか?
何度も運よく、物件の下見の日に調査が出来るとは限らない。
あのマンションで決定なら、別居先が把握出来て、今後楽になるのだが・・・

車は、不動産の店舗横で停車した。
男が降り、後部ドアを開けて、二人を下ろす。

二人は、不動産の店舗に入り、不動産の男は車に乗り込み移動していった。
車を置きに行ったのだろう。

「運転手さん。ありがとうございます。」

僕は運転手に1万円札を渡し、おつりから5千円を運転手に渡した。

「約束の5千円です。」

「こ、これはありがとうございます。」
「1件だけだったので、なんか申し訳ないですねぇ〜」

と言いながらも、運転手はすぐにポケットに5千円を入れる。

「分かっていると思いますが、この事は他言無用でお願いしますね。隆司さん。」
「1万円はチップのレベルじゃないので、口止め料も含まれています。」

調査でタクシーを使用した時には、降車する時に必ず下の名前を呼ぶようにしている。
名前を憶えたぞと、軽い脅しの意味を含める為に。

「わ、分かっています!誰にも言いませんよ。安心して下さい!」

「そうですよね。信用しています。ありがとうございました。隆司さん。」

と、運転手の顔を凝視し、タクシーから降車する。

不動産の店舗内を確認すると、二人はカウンターに座っていた。
少しすると、不動産の男が戻り、店舗に入っていった。

不動産の監視体制に入る。

カメラの望遠で確認すると、不動産の男が渡した書類に、ひとみが書き込んでいる姿が見えた。

これは・・・
決定かな・・・

ひとみは書類を書き込んだ後に、鞄からA4サイズの封筒を不動産の男に渡した。
雄太も鞄から封筒を取り出し、不動産の男に渡す。

暫くすると、店舗奥から別の男が出てきて、主にひとみを見ながら、何やら長時間話している姿が確認出来た。

「・・・・・・・・」

あ、これは重要事項の説明だな。
と、いう事は、審査はもう通っているんだ。

ひとみを見て話しているという事は契約者は、ひとみだな。
雄太が封筒を渡したのは、雄太が連帯保証人になるからだ。

今日は、最終確認で以前にもマンションの下見はしていたんだ。
あのマンションで決定だ。

今日調査が出来て、運が良かったな・・・
来月ぐらいから別居開始かな・・・

あの二人・・・

住む前から別居先を把握されてたなんて後で知ったら、どんな反応をするのか楽しみだ。

22時を過ぎた頃・・・
二人は店舗から出て来た。

不動産の男が見送り、二人は駅の方に歩き出す。

少しすると・・・
二人は、高級そうな小料理屋に入っていった。

食事をし、酒を飲みながら、新居の話や、輝かしい二人の未来の話に、花を咲かせるのだろう。

・・・その花は、僕がもぎ取るとも知らずに。

23時14分

二人は、小料理屋から、腕を組み会話をしながら出て来た。

二人の尾行を開始する。

離れて尾行しているのにも関わらず、二人の笑い声が聞こえてくる。

嬉しそうだ・・・
楽しそうだ・・・

真紀さんは、今この時でも辛い思いをしているのに・・・

二人は駅の構内に入り、人目もはばからず抱き合い、それぞれ帰宅ルートのホームに向かっていった。
終電が近いので、今日は女のマンションには行かないようだ。

少し迷ったが、ひとみの尾行をする事にした。

真紀さんにメールで伝える。

「細かい事は、明日お伝えしますが、二人は外で接触し今別れて、ご主人は40分ほどで帰宅する予定です。僕は女を尾行し、マンションに入室したら調査を終了します。後、出来れば録音をお願いします。」

すぐに真紀さんから連絡が来た。

「分かりました。遅くまでありがとうございます。」

真紀さんには、ボイスレコーダーを購入してもらい、さらにスマホに録音アプリを入れてもらった。
証拠になるかどうかは後で考えればいい事なので、なるべく会話を録音するようにお願いしていた。

録音内容が、日常会話だけだったとしても、今後、雄太が以前から婚姻関係は破綻していた。と主張したとしても、何気ない日常会話があれば、婚姻関係は破綻していなかったと論破出来る。

依頼者には、必ず録音をする事をお願いしている。
相手が自分に都合の良い嘘話をでっち上げた時などに、かなり有利に使う事が出来るからだ。
実際に録音で追い詰め、証拠で止めを刺し、圧勝している依頼者は多数いる。
相手に対し、裁判官が「貴方はなにをしたいのですか?」と言わせた事もある。
録音はかなり有効な手段だ。

ひとみが電車に乗った。

乗客が少ないので、僕は隣の車両に乗り尾行を開始する。
ひとみは自宅の最寄り駅で下車し、何処に寄らず帰宅した。

調査終了だ。

いつものように、現場を離れ自販機でポカリスエットを買い、タバコに火を点ける。

ふぅ〜〜・・・

不貞行為は撮れなかったが、密着した様子は撮影出来た。
それに、二人が今後住むマンションも把握出来た。

上出来だ。

調査日はまだある。

トラブルはあったが、順調に追い詰めているな・・・

そう思っていると、真紀さんからメールが入った。

「トランさん。主人が来月までに離婚をしたいとはっきり言ってきました。来月には別居をすると。今までは遠回しにしか言っていなかったのに、初めて離婚と言ってきました。」

・・・始まったか。

マンションの契約が完了し、行動に移し始めたな。
やはりひとみとは、来月から住む約束をしたのだろう。

僕は真紀さんにメールをした。

「離婚は何が何でも拒否して下さい。絶対に認めたらダメです。その方が後々有利になります。それと浮気を知っているとは絶対に話してはダメです。録音は出来ていますか?」

少しすると、短い返信が来た。

「録音できてますわかりました」

急いでメールをしたのだろう。
話合いに入っているな・・・

どのような話し合いでも、今までの証拠だけでも勝ちなんだ。
真紀さんが有利になるのは間違いない。

雄太・・・
自滅の始まりだな・・・

この時は・・・

すべて想定内の行動をする雄太を・・・
バカにしていたのかもしれない。

真紀さんからの・・・

「翔太も私も殴られました。助けて下さい。」

との・・・

メールが来るまでは。


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