依頼者さんのお子さんと話す事がたまにあります。
でも、僕は子供と話すのが結構苦手です。
卑屈になったりします。

ある時、保育園のお子さんを連れて依頼者さんが来ました。
込み入った話ではなかったのと、お子さんと会っても問題ない状況だったので、お子さんがいても良かったのですが、お子さんは僕を見るなり・・・

「あーくんと同じ顔!!」「あーくんにそっくり!!」と何度も何度も僕を指さし、大声で依頼者さんに伝えています。

依頼者さんは、「失礼でしょ!!」「そんな事を言ったらダメでしょ!!」とか、何故か怒っています。

僕は、「別にいいですよ。」「そんなにあーくんに似ているのかな?」「保育園のお友達かな?」と頑張って、お子さんに話しかけたら・・・

「お馬さん!!」

と言うではないですか。

さすがに頭の中は「???」がいっぱいです。

すると依頼者さんが言いにくそうに・・・

依頼者「・・・ポニーです。」

僕「はい??ポニーって何ですか?」

依頼者「・・・馬のポニーです。」

子供「お顔がそっくり〜〜♪」

僕「・・・・・・・・。」

詳しく聞くと、近くにポニーとか、ヤギとかを飼っている所があり、そこの3頭のポニーうちの1頭があーくんという名前だそうです。
そのあーくんが、僕にそっくりだそうです。

いや・・・
子供目線では、僕があーくんにそっくりなようです。

僕は「そ、そうなんだ〜〜」と、ヒクヒクと顔をこわばらせながら、愛想笑いで言うしかありません。
子供から見ると、僕は馬顔ならぬ、ポニー顔らしいです。

お子さんは依頼者さんと話している間、すごく興味津々に、僕の顔をしげしげと見ていました。

それからも何度かお会いましたが、それ以来お子さんは僕の事を「人間のあーくん」と言うようになりました。

やっぱり、子供は苦手です。

ヒヒ〜〜ン

それでは。

「夫の浮気に制裁を 8」

よろしくお願い致します。


女と女性社員は、会社の最寄り駅に入っていった。

すぐに電車が到着し、上り線に乗車する。

電車の混雑状況から、僕は隣の車両に乗り込む。

これで、下り線に行かないと到着できない、3LDKのマンションの女性はほぼ消えた。
そのマンションが、一番苦労した下見だった事を一瞬思い出したが、頭から打ち消した。

残り二人は、途中まで路線は一緒のはずだ。

ある駅で電車が止まると・・・
女と一緒にいた女性社員が下車した。
その駅は、2DKのコーポの女性が下りる予定の駅だ。

なら、あの女の名前は・・・

「・・・・・・・・・・・。」

はやる気持ちを押さえ、尾行に集中する。
女は女性社員が下車すると、すぐにスマホを見始めた。
SMSをしているような指の動きだ。

そして・・・

ワンルームマンションに暮らす女性の最寄り駅で・・・

女が降りた!!

ここで見逃すわけにはいかない。
僕も人込みに紛れて下車し、尾行を継続する。

女は改札口を出て、暫く歩いていたが・・・
途中でコンビニに入った。

こちらは、コンビニ外で監視に入る。

すると・・・

女は立ち読みをしている男に声をかけた。

あの男は・・・

雄太だ!!

やはり女は、雄太の浮気相手だ!!

コンビニ内は光が明るく撮影しやすい。
小型のビデオカメラでも撮影は可能だ。
鞄から小型のビデオカメラを取り出し撮影に入る。

会社から場所が離れているので安心しているのか・・・
かなり密着して会話をしている。

二人は飲み物や食べ物を購入して、雄太の支払いで会計をし・・・
腕を組みながら、コンビニを出て歩き出した。
二人が密着している映像を押さえる。

間違いない。

二人は・・・

黒だ!!

女のマンションまで徒歩5分の距離。

「・・・・・・・・。」

一瞬迷ったが、二人の尾行を止め・・・
僕は、裏道を通り、女のマンションに先回りする事にした。

走る!!走る!!走る!!

女のマンションに着き、息を整えながら、エントランスを確認出来る、月極駐車場に向かう。

下見をした時に確認した、駐車場から撮影する事にした。
下見の時より車が駐車しており、隠れての撮影はしやすい。

頭の中で何度も何度も、撮影のシミュレーションをする。

二度と撮れない映像だ。
失敗は許されない。

今、駐車場に誰か来たら、あきらかに不審者だ。
辺りは暗くなり、光があまり望めない状態だ。
また、駐車場からエントランスまで距離がある。

「・・・・・・・。」

多少目立つが仕方がない。
より明るく撮影出来る、大型のビデオカメラで、この現場を挑む。

この暗さだと、アイリスの絞りはオートでもどうせ開放気味だ。
このままでいく。
ゲインも、この場所ならオートでいけるだろう。
数年前と違い、今のビデオカメラの自動調整はかなり優れている。

フォーカスもオートでいけると思うが・・・
暗い場面では、オートだとピントが合わない事が稀にある。
マニュアルで操作する事にした。

駐車場に誰も来ないのを祈りながら、二人を待った。

少しすると・・・

腕を組み、女が雄太の肩に頭を付けながらマンションに向かってくる、二人を確認した。

道路を歩いている二人を、正面から撮影する。
エントランスに入る二人を撮影する。
二人がエレベーターに乗る姿を撮影する。

よし、順調だ。

エレベーターが閉まった瞬間・・・

僕はさらに離れた空き地に走り出した!!

次の撮影場所は離れた空き地だ。

女の部屋は三階だ。
視野的に、その場所しか撮影ポイントは無かった。
しかし三階なんて、すぐに到着してしまう。

計算上、撮影できるかはギリギリだ。
走りながらゲインをマニュアルにし、明るさを上げる。
ゲインを上げすぎると、明るくはなるが、砂嵐のようなノイズが出る。
しかし、映画を撮影している訳ではない。
多少ノイズが出ようと、映像を見て、誰もが二人だと認識出来ればそれでいい。
色合いもどうでもいい。
探偵が撮影しているのは、証明映像だ。
映画のような綺麗さなんて必要ない。

空き地に着き、急いで三階の渡り廊下にカメラを向け撮影に入る。
ゲインは上げているが、それでも暗く、さらに望遠で撮影しているので映像は粗い。

だが、何とか間に合った。
二人は渡り廊下を歩いている。

ノイズはあるが、二人だと認識出来る映像を押さえる事が出来た。

ドアを開け、部屋のライトが点き、二人は室内に入っていった。
窓側に移動し、室内のライトが点灯している撮影をする。

さすがに室内は確認出来ない。

エントランス側に戻り、エントランスを中心に、マンション全体を撮影し・・・
マンションの物件名が書かれている、館銘板を撮影した。
これは、間違いなくこのマンションに二人が入ったと証明する為だ。

「・・・・・・・・・・。」

ふぅ・・・・・

とりあえず成功だ・・・

安堵したい気持ちを奮い立たせ、次は雄太が出てくるのを監視する。
人通りの少ない道・・・
いかに不審者だと思われないかが、腕の見せ所だ。

だが、雄太は暫くは出て来ないだろう。
機材をチェックし、携帯を確認すると、不在着信が3件、メールが6件来ていた。
調査の最中は集中してしまい、着信があっても気づかない事が多い。

すべて真紀さんだった。
僕は真紀さんに電話をした。

「連絡が出来なくてすみませんでした。」

真紀さんは不安げに話しだした。

「・・・どうですか?」
「まだ、出て来ないですか?」

言いにくいが、言うしかない。

「・・・ご主人は、18時30分には会社を出ました。」
「その後、朝の女と接触し・・・」
「腕を組んで歩き、女のマンションに入るのを確認しました。」

「二人は・・・」
「黒です。」

「ご主人は・・・」
「浮気をしています。」

真紀さんは暫くは無言だった。
言葉も出ない様子だった。

「女性は・・・女性は・・・誰ですか?」
「誰だか・・・分かったのですか?」

泣くのを我慢しているような、絞り出すような声で、真紀さんは聞いてきた。

「・・・・・・・。」
「女の名は、高木ひとみ。」
「社員名簿から、携帯電話番号も分かります。」

「ひとみ・・・さん・・・」

僕はあえて真紀さんに伝えた。

「貴女の・・・」
「敵になる女です。」

「・・・・・・・・。」
「私の・・・敵になる・・・女・・・」
「ひとみ・・・さん・・・」

真紀さんは独り言のように・・・
何度も、何度も・・・

つぶやいていた。

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