ビックリした。

山道を走ってると、マネキンの首だけが4つ、屋根からぶら下がっていた。

しかも、ちょうど山道のコーナーを曲がった所で、急に目の前に現れると、さすがにビビってしまった。

昼だから良かったけど、夜だったら絶叫していたかもしれない。

何が目的なんだろう??

防犯対策なのか、野獣対策なのか、走り屋に対する警告なのか・・・

それとも、芸術を追求した結果なのか・・・

聞いてみたい気もするけど、関わったら人生がお終いのような気もする。

くわばらくわばら。

「夫の浮気に制裁を 6」


よろしくお願いします。


雄太は、真紀さんから聞いた通りの道順を通り、駅に入った。
警戒をしている素振りもなく、順調に尾行をする。
電車に乗車し、会社の最寄り駅で下車した。
後は徒歩10分ほどで会社だ。

しかし・・・

雄太は、会社に向かう道から外れ、裏路地に入っていった。

「・・・・・・・・。」
「どこに行くつもりだ?」

会社勤務がある事は確実なはずだ。
裏道の方が、近道なのか?
疑問を感じながらも、こちらも裏路地に入り、尾行を継続する。

すると・・・

雄太は、小さな古い喫茶店に入っていった。

時計を見ると、7時55分。

会社の始業時間は、8時半からだ。

「これが日課なのかな。」

僕は喫茶店を監視できる場所に移動した。
中の様子を見る事は出来ない。

監視体制に入る。

しかし・・・
一向に雄太が出てくる気配は無かった。

時間は8時40分を過ぎている。

会社はもう始まっている時間だ。

「何故だ??」

逸る気持ちを押さえ、喫茶店を監視し続けた。

8時47分

ようやく喫茶店から雄太が出て来た。

何故、会社の始業時間が過ぎているかは、今は考えない事にした。
調査に徹し、尾行を再開する。

が・・・

その後にすぐ、女性が一人で喫茶店から出て来た。

雄太と話す素振りも何もない。
他人のような感じだ。

偶然か・・・

そう思った時・・・

二人が、わずかだが、アイコンタクトをしたのを見逃さなかった。

こいつら・・・
知り合いだ!!

普通の知り合いなら、他人の振りをする必要は無い。
女は20代後半、背が高くスラっとした美人系だ。

僕は、躊躇なく女性の尾行に切り替えた。
女の姿を撮影する。

雄太は、細い路地を会社方面に向かい・・・

女はすぐに曲がり、大通りに出て歩き始めた。

「・・・・・・・・・。」

このパターンは・・・

はやる気持ちを押さえつつ、尾行に専念する。

すると・・・

やはり・・・

同じ会社だ!!

二人は、わざとらしく複合ビル入り口で挨拶を交わし・・・
建物内に入っていった。

これは・・・黒だな。

今までの経験でこのパターンは、浮気をしている可能性がかなり高い。

そして・・・
真紀さんには、始業時間が8時30分だと言っているが・・・
実際は、9時なのだろう・・

もしかしたら・・・
8カ月前よりもかなり以前から、この女と関係が続いているのではないだろうか?

「・・・・・・・・・。」

真紀さんは・・・

本当は浮気なんてしていない、自分の勘違いだったらどれだけいいかとも、願っているはずだ。

「・・・・・・・・・・・。」

真紀さんの気持ちを考えると、暗い気持ちになる。

しかし、探偵はどのような内容でも、事実をありのままに伝え、証明するのが仕事だ。

僕は、真紀さんに電話をした。
そして、女と接触した事を伝えた。

「やっぱり・・・」
「同じ会社の人じゃないかと、思っていたんです・・・」

真紀さんは、諦めと悲しみの入り混じった声でつぶやいた。

「まだ・・・浮気しているかどうかは分かりません。」
「ただ、会社に行く前に打ち合わせをしていたのかも。」

こんな事を言っても、無駄なのに・・・
後でさらに辛い思いをさせてしまうのに、思わず口に出てしまった。

「気を使って頂いてありがとうございます。」
「でも、私は大丈夫です。」

真紀さんは、気丈に強がっていた。
しかし、真紀さんの性格は把握しているつもりだ。
かなり動揺しているに違いない。

だが、真紀さんには酷だが、調査を進める為には、女を特定する為には、真紀さんに、女を確認をしてもらうしかない。

「真紀さん。」
「今から女の写真を送ります。」
「見覚えがあるか、確認して連絡ください。」

「え??今からですか??」

「・・・はい。今からです。」
「女が何処の誰かを特定するのは、難易度が高い調査になります。」
「もし真紀さんが知っているならば、その難易度が一つ減ります。」

「・・・分かりました。」
「頑張ります。」

頑張りますか・・・
頑張らないと、女の写真は見れないんだろうな・・・

電話を切り・・・
すぐにメールで写真を送った。

少しして、真紀さんから電話がかかって来た。

「よく分かりません。」

「そうですか・・・」

ここで判明すれば、かなり前進出来たのに仕方がない。

しかし・・・

「でも、夫と同じ部署の人に似ているような気がします。」

「・・・・・・・!!」
「その女に会った事があるのですか?」

「いえ、会った事はないです。」
「でも社員旅行の時の、部署で集まった集合写真があるのですが・・・」
「そこに写っている女性に似ているような気がします。」
「名前までは分かりませんが・・・」

「そうですか。」
「それが本当なら・・・」
「かなり進展します。」

「この女性・・・」
「綺麗な人ですね。」

真紀さんの言葉には、嫉妬や怒りにも似た感情を感じた。

「・・・・・・・・。」

僕は聞かなかった事にし、念の為に真紀さんに聞いてみた。

「社員名簿みたいなのはないですか?」
「もしくは、同じ部署の女性から年賀状とかは届いていませんか?」

「あ!!」
「あ、あります。あります。」
「部署別の社員名簿も、年賀状も!!」

よし!!

「それがあれば、絞り込みが出来るかもしれません。」
「写メで撮って送って頂けますか?」
「それと、社員旅行の写真も。」

思いがけなく、女の特定が出来るかもしれない。

真紀さんの気持ちとは裏腹に、

僕は嬉しさを感じていた。

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